刷毛に使われる毛は大きく「天然毛」と「化学繊維(人工毛)」に分けられます。
それぞれに特徴があり、用途や仕上げの質感に応じて選び分ける必要があります。
目次
天然毛
豚毛
- 特徴: コシが非常に強く、耐久性に優れる。毛先は太めで押し付けが効く。
- 用途: 油性塗料や溶剤系ニス、ラッカー塗装に最適。木部や外壁など粗い面でもしっかり塗れる。
- 注意点: 水性塗料では水分を吸って腰抜けしやすく、仕上がりが乱れやすい。
馬毛
- 特徴: 柔らかく、塗料の伸びが滑らか。ぼかしや仕上げに適する。
- 用途: 最終のなで付けや、薄塗り仕上げの補助用。
- 注意点: 強溶剤には弱く、ラッカーやシンナー系で長時間使うと劣化しやすい。
山羊毛
- 特徴: 非常に柔らかく含みが良い。ふんわりした塗り味。
- 用途: 美術刷毛や日本画、ぼかし、ダスター用など。
- 注意点: 溶剤や荒い下地には不向き。
イタチ毛
- 特徴: 弾力と復元性に優れ、先細りで繊細な線描きが可能。
- 用途: 美術、模型、精密塗装や筆記具。
狸毛
- 特徴: 独特の腰と含みがあり、毛先でのぼかしが得意。
- 用途: 塗装や美術における「なで付け」「仕上げのぼかし」。
化学繊維(人工毛)
ポリエステル毛(PBT含む)
- 特徴: 最新の加工(テーパード・フラッグ加工)で含み・吐き出しともに良好。形状保持性が高い。
- 用途: 水性・油性どちらでも使用可。現場では最も汎用性が高い。
- メリット: 耐摩耗性が高く、毛跡も出にくい。
ナイロン毛
- 特徴: 弾力があり滑らかだが、吸水で腰抜けやすい。高温環境で柔らかくなりがち。
- 用途: 水性塗料での短時間作業。
- 注意点: 夏場や湿気の多い現場では性能が落ちやすい。
混毛(天然+化繊)
- 特徴: 天然毛の含みと化繊の耐久性を兼ね備える。
- 用途: 水性・油性両方に対応する万能タイプ。
用途別の選び方
- 油性(アルキド、ラッカー、ニスなど)
→ 豚毛、または高性能ポリエステル毛
→ 仕上げやぼかしには馬毛・狸毛を補助的に使用 - 水性(アクリル、ウレタン、ラテックス系)
→ ポリエステル毛(PBT)やナイロン毛
→ 豚毛単独は不向き - 広範囲の塗装(壁・床など)
→ 主役はローラー(ラムウール、モヘア、マイクロファイバー)
→ 刷毛は縁・際・細部に使用 - 美術・模型・精密作業
→ 線描き=イタチ毛
→ ぼかし=山羊毛、狸毛
→ 強溶剤使用時は化繊筆を併用
まとめ
- 豚毛は油性に強く、ラッカーやニスで重宝。
- 水性は化繊(特にPBTポリエステル)が第一選択。
- 馬毛や狸毛は仕上げやぼかしの補助役として活躍。
- 広範囲はローラー、刷毛は細部と役割分担。
- 美術・精密用途はイタチや山羊毛が適任。
以上、刷毛の毛の種類についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。