刷毛での塗装は、道具の選び方や手の動かし方次第で仕上がりが大きく変わります。
ここでは、準備 → 塗り方 → 仕上げの流れで、プロも実践するテクニックを詳しく解説します。
目次
準備が仕上がりを左右する
適切な刷毛を選ぶ
- 油性塗料:豚毛や馬毛などの天然毛がコシが強く適している
- 水性塗料:ナイロンやポリエステルなどの化繊が推奨(天然毛は水を吸ってコシがなくなるため不向き)
- サイズ:広い面は70〜100mm程度、細部や隅は20〜40mm程度を使い分ける
下地処理
- 表面のホコリ・油分・サビを落とす
- 木材はサンドペーパーで研磨し、必要ならシーラーで吸い込みを抑える
- 金属は錆落としと脱脂をしてから、防錆プライマーを塗布
- ヤニ・シミがある木部にはシーラーや染み止めを使うと仕上がりが安定
ペンキの準備
- よく攪拌して沈殿物を均一化する
- 最近の水性塗料は無希釈が基本。どうしても塗りにくければ水で0〜5%程度、油性は5〜10%を上限に薄める
- 仕上がりを均一にするため、塗料はストレーナーで濾すのが理想
塗り方の基本テクニック
刷毛に含ませる量
- 毛先の1/3程度まで浸す
- ペイントトレーのリブ面で軽くしごき、塗料を均一になじませる(缶の外縁で強くしごくのはNG)
塗る動作
- 端や角(カットイン)から塗る → 広い面へ進む
- 薄く均一に伸ばす → 厚塗りは垂れの原因
- 小さな区画ごとに仕上げ、隣の区画の“濡れている端”に重ねる(ウェットエッジを切らさないのがムラ防止のコツ)
空引き(ならし)
- 塗り広げた直後、塗料をつけずに刷毛を軽く通し、膜を均一にならす
- 乾き始めた後に戻ると刷毛跡が残るのでNG
仕上げと重ね塗り
仕上げの方向
- 最後は一定方向にサッと引き抜く
- 木材は必ず木目方向へ
乾燥と再塗装の目安
- 水性アクリル:指触乾燥30〜60分/再塗装2〜4時間
- 油性塗料:指触乾燥4〜8時間/再塗装16〜24時間
※気温・湿度で変動するため、必ず塗料の仕様書(TDS)を確認
マスキングの扱い
- 塗装が半乾きのうちにテープを斜め45°でゆっくり剥がす
- 完全硬化後なら、カッターで切り離してから剥がす
よくある失敗と防止策
- 刷毛跡が目立つ → 塗料を適切に薄める/空引きは一度だけ
- 垂れ・ダレ → 厚塗りしない/刷毛に含ませすぎない
- 泡・ピンホール → 攪拌は穏やかに/濾してから使用
- 色ムラ → 下地処理不足や乾燥不良が原因。しっかり乾燥させてから重ね塗り
後片付けと保管
- 水性塗料:水で早めに洗う
- 油性塗料:シンナーで洗浄後、石けん水で仕上げ
- 洗浄後は刷毛コームで毛並みを整え、新聞紙で軽く巻いて保管
- 油性のウエスは自然発火の危険があるため、水に浸けてから廃棄
まとめ
刷毛塗りのコツは以下の3点に集約されます。
- 下地を正しく整える
- 薄く均一に伸ばし、ウェットエッジを維持する
- 仕上げに一度だけ空引きでならす
この基本を守れば、プロのような滑らかな仕上がりが実現できます。
以上、刷毛でペンキを塗るコツについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。